2月17日,アクロス福岡シンフォニーホールで樫本大進の無伴奏ヴァイオリンリサイタルを聴く。
ベルリンフィルハーモニーのコンサートマスターに決まったばかりで,今,旬のヴァイオリニストである。
この日の曲目はパルティータ第1番ロ短調,ソナタ第1番ト短調,パルティータ第2番ニ短調である。
バッハの無伴奏ヴァイオリン曲だけでリサイタルを開くのはよほどの自信がないと出来ない。ごまかす要素が何もないからである。
真摯な演奏ぶりで,ぐいぐい惹き付けていってくれる。フレーズが明確に提示してくれる演奏で,音楽が非常にわかりやすく聴こえてくるからである。
途中,弓の加減で一度止まり,またパルティータ第2番の第4楽章でも止まったが,まったく気にならない。ライブならではのことで,むしろよい意味での緊張を聴衆に強いて,聴取そのものを誘う。
無伴奏ヴァイオリンなどは普段あまり耳にすることはないので,他の奏者と比較は出来ないし,誉め言葉の語彙も多くないので,たいしたことは書けないのが残念。
また機会があればぜひ聴きたい。
なお,会場のアクロス福岡のシンフォニーホールは,やはりその名の通り,管弦楽用のホール。ソロリサイタルに適した会場ではない。響の面ではなくて,雰囲気の面で。演奏者も聴衆とのコミュニケーションが存在しなければ弾きにくいだろうなと思ったし,聴衆の方も,演奏者の息づかいを感じながら聴きたい。