今日(8月19日),福岡市美術館で菊畑茂久馬展「戦後/絵画」(8/28まで)を見る。
菊畑は福岡在住の日本を代表する画家の一人。美術家グループ「九州派」を出発点とする。一時東京でも個展等で活躍したようだが,当時の日本の現代美術の動向に疑問を抱き,その後はもっぱら九州福岡を拠点に,海外や中央の動向にとらわれず,ひたすら己の世界を追究してきた。その思いは《天動説》という作品タイトルによく表れている。
そのシリーズ《天動説》やシリーズ《天河》の抽象造形世界の精神的厳しさに,会場に足を踏み入れた瞬間に圧倒された。そこには媚び諂いはいっさいなく,造形そのものに向き合う,求道者のごとき精神性を感じた。こんな素晴らしい美術家が福岡にいたのかということに率直に驚いた。
それと同時に,中央の名声にとらわれずに地方の作家をきちんと評価する福岡の美術評論界(多くは美術館の学芸員と新聞社の美術担当記者)の質の高さも評価したい(もちろん針生一郎などの著名美術評論家の後押しもあったのだろうが)。