12月8日,福岡市のあいれふホールで西日本オペラ協会『歌で巡る世界の旅』「第2夜イギリス・ドイツ・オーストリア ちょっと早めのクリスマス」を聴いた。前半はオペラではなく歌曲や民謡が中心,後半はオペラ(ジングシュピールやオペレッタ)のアリアと重唱が中心である。
 舞台には字幕用のスクリーンが置かれ,コンサートの間,歌の内容が日本語訳で提示されていた。
 じつは私は最前列の上手寄りの席に座っており,歌い手と字幕を同時に見ることが出来なかった。したがって,常に歌い手と字幕とに交互に視線を動かすことになる。
 前半,視線を動かすことに疲れてじつは途中で字幕を見ることをあきらめてしまった。ところが後半,オペラになると,視線を動かす苦労も厭わずに字幕を見ることになった。やはり,歌の一断片ごとに,表情や仕草の一区切りごとに,その意味を明確に知りたくなるのである。たとえよく知っているアリアであってもそうなのである。そういう意味でオペラはやはり「劇」なのだ。そのことを踏まえてきちんと字幕を用意された西日本オペラ協会の見識と行動に拍手。