読書ノート(180209)
「加計学園の悲願を叶えた総理の欺瞞」とサブタイトルのついた森功著の『悪だくみ』(文藝春秋、2017.12.15刊)を読んだ。新聞やテレビ、ネットで知り得た情報以上に特に目新しい情報は書かれていない。ただ、断片的にしか知り得なかった情報がきちんと整理されていることがこの本の大きな長所だし、そこへ関係者への取材結果が反映されているので個々の情報の精度が高い。じつは目新しい情報がない点にこそ、この本の内容が真実であることを実感させた。
この加計学園獣医学部設立に関わる問題点はまさに権力の私物化であり、国民の財産(国費)の不正使用であり、国民に対する不公平・不公正である。権力側は国民の関心をそらし、嘘によってだまし通せると思っているだろうが、最終的にはそうはならないことは歴史の真実が証明している。ただ、だまし通す期間が長いのは御免蒙る。そうなるのを防ぐためにもこうした本はきわめて大切なのだ。
なお、この本、近くの全国チェーンの大手の書店の書棚ではなかなか見つけることができなかった。該当する書棚を探した。著者は有名なノンフィクション。ライターである。出版社も大手である。そこで店員に尋ねると、その該当する書棚の一番奥に、手前に置かれた類似の本(同じテーマを扱っているという意味での類似)から隠すように置かれていた。その類似の本とは、小沢榮太郞『徹底検証「森友・加計事件」―朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(月刊Hanada双書、飛鳥新社)である。まさか権力側が手を回してこのようにしたのではないと思うが、こうした事例は最近よく耳にする。いやな時代になったと思う。なお小沢榮太郞のこの本については朝日新聞が執筆者と出版社を名誉毀損で訴えている。
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