音楽鑑賞ノート180127

1月27日、兵庫県立芸術文化センターKOBELCO(大ホール)にて「ブルガリアン・ヴォイス〜アンジェリーテ〜」を聴く。

ブルガリアの民族音楽としての女声コーラスは地声発声と独自の多声音楽構造で知られ、知る人ぞ知る世界有数の個性派コーラス。今から50年近く間、学生時代の名古屋で「ハトの会コーラス(現・芸能山城組、当時の東京教育大(現・筑波大)とお茶の水女子大の学生から成る組織)」によってブルガリアン・ヴォイスを聴き、その素晴らしさに腰を抜かしたことがある。そのショックで通常のコーラスへの興味をまったくなくしてしまい、それがその後の私があまり普通の合唱曲を作曲しなかった原因ですらあった。

今日、あらためてその素晴らしいブルガリアン・ヴォイスの世界に、おまけに本場の人たちによる世界に浸って、まさに至福の時。全部で20曲ばかりの作品が上演されたが、民謡や伝統的なものばかりでなく、現代作品も演奏された。いずれも時を忘れて聴き入った。最後の「Mechmetioi」は民謡を題材にはしているが、それを現代作曲技法のクラスターなどを用いて再構成したもので、現代作品としての試みに満ちあふれてはいるが多くの人の耳を惹きつけ心の中に分け入ったに違いない。私には現代音楽を作曲することへの希望を与えてくれた。

(コンサート後、ホワイエにて)