ES-21
《輝ける聖なる鳥は天を目指す》クラリネットとピアノのためのソナタ 
The Brilliant Sacred Bird leaves for Heaven Sonata for Clarinet and Piano      →Youtube

  • 【演奏時間】10分【作曲】2014.12【初演】2015.6, 福岡キリスト教協会,「アクアトリオ」リサイタル, タラス・デムチシン, 越智可奈子

作曲の動機

九州交響楽団(九響)のクラリネット奏者タラス・デムチシンのクラリネット演奏を聴いたことがキッカケになった。2008年頃に九響にタラスが在籍した頃から九響の木管セクションが非常に魅力的になった。そして彼が演奏するクラリネット協奏曲やソロ、クラリネットを含む協奏曲などを聴いていてクラリネットの表現力に魅せられたことで、クラリネットを含む室内楽を猛烈に作曲したくなった。

私が聴いたタラスのレパートリーはロマン派の音楽とかつてソ連の作曲家として活躍したハチャトゥリアンなどの作曲家の作品であり、いわゆる前衛的な傾向のものは皆無であった。しかしそうしたロマン派の音楽やソ連の作曲家たちの作品がこれまでの印象と異なり、一方ではひじょうに造形的に、それにもかかわらずひじょうにエモーショナルに感じることができた。私はそこに新しさを感じたのである。

一部の評論家からは折衷主義、ネオ・クラシックと言われることを承知で、演奏家がたのしんで演奏でき、聴衆もこれまでクラシック愛好の感性・知識の中でたのしんで聴ける作品をつくりたかった。

作品の概要

タイトルの《輝ける聖なる鳥は天を目指す》の鳥とはヒンドゥー神話に登場する聖鳥ガルーダのことを指す。邪悪な蛇を攻撃して食すところから、邪悪なものから神や聖者を守る聖鳥とされている。この鳥は「ラーマヤナ」にも登場し、ラーマやその軍勢の苦難を救う。

曲は絶対音楽であり、具体的な物語を描いているわけではない。楽想を得るためにガルーダの飛翔や戦いの様子などを想像したに過ぎない。私はカンボジアやラオスの寺院や遺跡におけるガルーダの彫像やレリーフ、絵画を多く目にしたので、その想像はけっこう豊かだと思っている。

構成は古典派やロマン派の急ー緩ー急の三楽章制のソナタ楽曲のスタイルの則っている。第1楽章はソナタ形式、第2楽章は三部形式、第3楽章はロンド形式にしたがっており、形式的には何ら新しいところはない。音の運動、主題とその展開、表情、感情喚起、などが内容のすべてである。

 第1楽章冒頭

 第2楽章冒頭

 第3楽章冒頭