あらすじ

妻シータを魔王リアップにさらわれたコーサラ国の皇太子ラーマが,シータを救いだすために弟レアックや白猿ハヌマーンとともにリアップの城のあるランカ島にわたり,リアップと戦い,勝利し,無事にシータを救い出す。シータは不貞の疑いを受けるが,火の神アグニによってその無実が証明される。

第1幕「ダンダカーの森」

第1場:ダンダカーの森の入り口

義母の奸計によってコーサラ国の都アヨーダヤを追放されたラーマ(コーサラ国の皇太子)とその妻シータ,ラーマの弟のレアックの3人は,ダンダカーの森の中で帰国を許されるまで過ごすことになった。多くのアヨーダヤの民が別れを惜しんで森の入り口まで3人を送ってくる。

第2場:ダンダカーの森の中,山小屋の前

3人はダンダカーの森の中にようやく住むための山小屋を見つける。

第3場:ダンダカーの森を見下ろす山頂

ダンダカーの森で静かに暮らしている3人であったが,その存在がランカ島に住む魔王リアップの知るところとなる。シータの美しさに惹かれたリアップは,シータの誘拐を画策する。

第4場:ダンダカーの森の中,山小屋の前

手下のモハリクに美しい黄金の鹿に化けさせ,シータを幻惑する。黄金の鹿を追いかけてラーマとレアックがシータの側を離れた隙に,リアップはシータを攫ってしまう。

シータを失って悲しむ二人の所へ白猿のハヌマーンがシータの青いベールを持って現れ,シータがリアップに攫われたことを告げる。ラーマはシータ救出のためにランカ島に行くことを決意する。ハヌマーンが助太刀を申し出る。

第2幕「囚われのシータ」

第5場:ランカ島をのぞむ浜辺

ラーマ,レアック,ハヌマーンはランカ島を臨む浜辺に到着する。シータが無事であることを確かめるために,ハヌマーンがランカ島に偵察に出かける。

第6場:ランカ島リアップの城,シータの幽閉部屋

ランカ島のリアップの城の一室にシータは幽閉されている。リアップがシータに言い寄るがシータはそれを断固としてはねつける。囚われのシータをポンニャカイ(リアップの姪)が慰める。

ハヌマーンがシータの部屋に忍び込み,ラーマはきっと助けに来るとシータに告げて,シータを勇気づける。

第7場:ランカ島をのぞむ浜辺,建築中の橋が見える

ラーマのところに戻ったハヌマーンはシータの無事を報告する。

ラーマはランカ島に渡るための橋の建設を行っているが,人魚ソヴァンマチャとその侍女の人魚達が妨害する。ハヌマーンがソヴァンマチャを退けた後,多くの兵士が力を合わせて橋を造り始める。

第3幕「ランカ島での戦い」

第8場:ランカ島でのラーマ軍の陣地

ランカ島に渡ったラーマ軍とリアップ軍との戦いは熾烈を極める。

リアップはラーマの戦意を喪失させるために贋のシータをラーマ軍の陣営に送り込む。瀕死の状態の贋のシータからリアップに辱められたことを打ち明けられたラーマはショックのあまり戦意を喪失する。しかしハヌマーンはシータが贋であることを見破る。ポンニャカイがリアップの命令でシータに化けていたのである。ラーマはリアップの卑劣なやり方に憤り,むしろ戦意が高揚し,戦いを挑んでいく。

第9場:ランカ島リアップの城,リアップの部屋

形勢不利になったリアップは敗北を悟る。敗北の前にシータだけはわがものにしておこうと考える。

第10場:ランカ島リアップの城,シータの幽閉部屋

リアップは,シータのラーマへの思いを断ち切らせるために,贋のラーマの打ち首を見せる。ショックで茫然自失のシータにリアップが襲いかかる寸前にラーマが現れる。ラーマはリアップを打ち倒し,シータを救い出す。

勝利の喜びに湧くラーマ軍。

第11場:ランカ島でのラーマ軍の陣地

無事にシータを取り戻したが,ラーマ軍の兵士たちの間にはシータに不貞の疑いが渦巻く。不貞の疑いを苦にしたシータは,身の潔白を証明するために火の中に身を投じる。

オペラ『ラーマヤナ』概要(解説1)

オペラ『ラーマヤナ』登場人物(解説2)

オペラ『ラーマヤナ』参考資料スコア断片(解説4)