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《ホワイト》ピアノのための
White for piano

  • 【演奏時間】9分【委嘱】川口容子【作曲】1983.1【初演】1983.5, 京都, 川口容子ピアノリサイタル【CD】WINDOWS Chie Sato Roden, ALM ALCD-32

タイトルが示すように、この曲《White》はピアノの白鍵のみで作曲されている。一見、1970年代におけるヨーロッパの前衛的な作法に対する関心から逆行したかのように見えるが、全音階的な澄んだ響きの、きめ細かな音の織りなしを背景とした音群的音楽を作ろうとしたのである。

楽譜では5〜10秒、15〜20秒というように、おおよその秒数で各部分の持続が指示されている。46の部分からなるこの作品は、平行運動と音階上行運動の2つの要素で構成されている。平行運動は音の連打やトレモロにより全曲に浸透し、音階上行運動の素地として機能する。音階上行運動は、はじめ順次進行で上行していたのが、次第に装飾音や跳躍音程を伴って初出のパターンを発展させる。デュナーミクの変化がそのプロセスに陰影を施す。音価が不確定で非拍節的な音空間は演奏者の間のとり方を如実に照らし出すようにし、音の継起の一つ一つができごととして重みをもたせるようにした。