「九州の作曲、50年」KASA(音楽創造研究会九州)第3回公開演奏会

<内容概略>
かつて福岡ですばらしい前衛音楽を作り続けた今史朗(1904-1977)と三村恵章(1951-2002)、いまも長崎で作り続けている小畑郁男、鹿児島で作り続けている久保禎、福岡で作り続けている中村滋延、そしてこれから作り続けていこうとしている3人の若い作曲家(堀本和総、小寺未知留、山本洸)、それらの作品を九州を中心に活動している実力派奏者たちによって紹介・上演します。紹介できるのは一部分でしかありませんが,多くの方々に九州の文化資源となり得る音楽を発見し育てていただくために今回の機会を設けました。もちろん,音楽そのものも十分にたのしんでいただくための機会でもあります。

<strong<日程・場所>
日時:2016年1月9日(土)18:30〜21:00(開場18:00)
(16:30〜17:30,ホワイエにて出品作曲家によるプレトーク)
場所:あいれふホール(福岡市健康づくりサポートセンター10階)
入場料:2,000円(学生券1,500円)
チケットぴあ Pコード:279-839(発売開始日:2015年11月2日(月))九大生協(伊都店・大橋店)

<strong<プログラム>
久保禎:《『かごしま弁』によるパラフレーズ》(2003/ 2015)
ピアノ:宮崎由紀子
小寺未知留:《庭園考――旧伊藤傳右エ門邸庭園より》ヴィオラ,チェロ,ピアノのための(2015,初演)
ヴィオラ:松隈聡子,チェロ:関原弘二,ピアノ:山本佳代子
今史朗:《2つのヴァイオリンとピアノのための3楽章》(1957)から「第2楽章:概念の修正」
ヴァイオリン:上野美科・加来洋子,ピアノ:宮崎由紀子
堀本和総:《子供の遊び》木管三重奏のための(2015,初演)
オーボエ:桐谷美貴子,クラリネット:古賀久美子,ファゴット:佐藤貴宣
中村滋延:《神々の肖像》ピアノ連弾のための(2007)より「第2曲:魔王リアップ」,
「第3曲:ピエイ神(風の神)」,「第6曲:インドラ神」,「第7曲プロム神」
ピアノ:山本佳代子・管谷怜子
三村恵章:《Mythology III》(1990)
フルート:田室信哉,打楽器:永野哲
——— 休 憩 ———
三村恵章:《Waving Mode II》(1985)
ピアノ:宮崎由紀子,打楽器:永野哲
山本洸:《Polyhedron》オーボエ,クラリネット,ファゴット,ピアノのための(2015,初演)
オーボエ:桐谷美貴子,クラリネット:古賀久美子,ファゴット:佐藤貴宣,
ピアノ:管谷怜子
小畑郁男:《バッハ・リミックス》(2006)より「第2楽章」「第3楽章」
ピアノ:山本佳代子
中村滋延:《善と悪の果てしなき闘い,第二章》フルートとマリンバのための舞曲(2015,初演)
フルート:田室信哉,マリンバ:島田亜希子
今史朗:《4つの弦楽器のための音楽》(1966)から「第1楽章」
ヴァイオリン:上野美科・加来洋子,ヴィオラ:松隈聡子,チェロ:関原弘二

<主催・後援・連絡先>
主催:「九州の作曲,50年」実行委員会
助成:(公財)福岡市文化芸術振興財団「FFACステップアップ助成プログラム」
後援:福岡市,(公財)福岡市文化芸術振興財団,先端芸術音楽創作学会(JSSA),日本音楽表現学会,日本現代音楽協会,九州大学大学院芸術工学研究院SAL(ソーシャルアートラボ)
問い合わせ:中村滋延 tel. 092-562-1425, 090-3947-2668 Mail. sn@desgin.kyushu-u.ac.jp
http://www.facebook.com/kyushu.association.sonic.art

<作曲者について>
九州の作曲界をふりかえる時には,ふたりの人物の名前を忘れることはできない。今史朗と三村恵章である。今回のコンサートはまずこの二人を検証・顕彰することを基本的な目的とした。
作曲家今史朗(コン・シロウ,1904-1977)は福井県敦賀市に軍人の家庭(父は陸軍少将)に生まれ,その後神戸で育ち,関西学院を中退して上京し山田耕筰に師事する。1930に別府に,1937年に福岡に移り住み劇場付きの作曲家として,戦後は米軍クラブのジャズピアニストや放送局の作曲家として生計を立てつつ,前衛音楽作曲家としての活動を続けた。前衛実験的技法を独学し,電子音楽にまで手を染め,死ぬ間際までレベルの高い作曲活動を続けた。九州在住ゆえに東京を中心とする音楽ジャーナリズムに知られることはなかったが,近年,再評価が始まっている。
三村恵章(ミムラ・ヨシアキ,1951-2002)は修猷館高校から芝浦工大に進むが,高校時代から作曲に熱中。処女作ともいえる管弦楽作品が国際現代音楽祭に入選するなど,早くからその才能が注目された。今史朗に私淑し,今史朗とともに福岡の現代音楽シーンを牽引していた時もある。前衛的技法によって多くの質の高い音楽を作り続けた。打楽器奏者の永野哲が三村の作品に惚れ込んでたびたび自身のリサイタルで取り上げている。
中村滋延(ナカムラ・シゲノブ,1950-),小畑郁男(コバタ・イクオ,1951-),久保禎(クボ・タダシ,1962-)は現役の作曲家であり,個性的な作品をコンスタントに作り続けている。海外でも作品が上演される機会が多い。
堀本和総(ホリモト・カズサ,1981-),小寺未知留(コデラ・ミチル,1989-),山本洸(ヤマモト・タケシ,1991-)は九州大学芸術工学部で活動を開始した新進気鋭の作曲家たちで,今後の活躍が期待される。

<演奏者について>
打楽器の永野哲(ナガノ・テツ)は元九州交響楽団のティンパニ奏者。複数の打楽器アンサンブルを組織し,指揮者としての活動も行い,また自身のリサイタルでは現代作品を積極的に取り上げる。
ピアノの宮崎由紀子(ミヤザキ・ユキコ)と山本佳代子(ヤマモト・カヨコ),管谷怜子(スガヤ・リョウコ)は九州を中心に幅広く意欲的に活躍している。宮崎と山本は現代作品の初演も多い。
ヴァイオリンの上野美科(ウエノ・ミシナ),加来洋子(カク・ヨウコ),ヴィオラの松隈聡子(マツクマ・サトコ),チェロの関原弘二(セキハラ・コウジ)はいずれも北九州市の響ホール室内合奏団のメンバー。上野は同合奏団のコンサートマスターをつとめる。
オーボエの桐谷美貴子(キリタニ・ミキコ),クラリネットの古賀久美子(コガ・クミコ),ファゴットの佐藤貴宣(サトウ・タカノブ)はソロ活動やオーケストラでの活動の他に,木管三重奏団「ラーチ・トリオ」としても活動している。
フルートの田室信哉(タムロ・シンヤ),マリンバの島田亜希子(シマダ・アキコ)は北九州市を中心に活躍する。ともに現代作品にもきわめて意欲的。

<KASA(カーサ)について>
KASA(カーサ)/Kyushu Association of Sonic Art(音楽創造研究会九州)はクラシック音楽の現在進行形としての“現代音楽”の創作活動を推進するための研究会として2012年に発足。活動としては年数回の研究会と、年1回の公開演奏会を行っている。今回は、2013年の「うたう」,2014年の「ひびき・ま・かたち」につづく3回目の演奏会である。現時点では九州大学大学院芸術工学研究院に関係する限定された数人を中心に活動しているが、けっして閉じられたグループ

<主催者代表,中村滋延>(シゲノブ)について
作曲家,メディアアーティスト。日本音楽コンクール作曲部門,国際ガウデアムス作曲コンクール(オランダ),日本交響楽振興財団作曲賞,ICMC(国際コンピュータ音楽会議),国際ビデオアート賞(ドイツ)など入賞入選多数。2010年に福岡市文化賞。交響曲5曲を含む100曲以上を作曲。音楽系メディアアート,映像音響詩というジャンルを創成。音楽や映像アートに関する著述・論文,新聞紙上での評論等の文筆活動にも積極的に関わる。現在,九州大学大学院芸術工学研究院教授。