パリにおける今回のテロについて。もちろんテロは憎むべきことで,実際,身に迫った危険事態です。集団的自衛権が行使できるようになった日本は今まで以上にテロの標的になる可能性が高まりました。でも,忘れてならないことは,イラク,シリア,アフガン,パレスチナではもっと多くの人が爆撃や市街戦で殺戮されているということです。それについては目立った報道はありません(ありますが今回の報道に比べるとひじょうに軽い扱いで,殺戮された人々を悼む感情を共有するところまでいっていません。イラク,シリア,アフガン,パレスチナの市民たちの命はパリ市民の命より軽いのでしょうか)。そうしたこと(=イラク,シリア,アフガン,パレスチナの市民たちの命の軽視)がテロを起こしている可能性を否定できないのではないか。
2001年の「9.11」の直後にパレスチナ難民キャンプにいた主婦がテロに賛意を示している(賛意どころか喜びの声をあげていた)ニュース映像が映りましたが,この感情を否定することはできません。だってその後にブッシュが行った「テロとの戦い」はまさにそのニュースの映っていたパレスチナ難民キャンプの主婦と相似の感情です(ブッシュは暴力によって具体的に感情発露しました)。自分たちの感情だけを正当化して,相手を一方的に断罪している限りにおいて,このテロは続きます。
テロをやめろというメッセージとともに,中東地域での一切の軍事介入と武器供与をやめろというメッセージも出すべきだと思います。「パリ市民の安全と平和を願うプロフィール写真を設定しよう。」というFacebook上の呼びかけの文言になにか付け加えることはないのでしょうか。