大阪市特別区設置住民投票について考える(1)2015_5_11

ここ数日、「大阪市特別区設置住民投票」に関する様々な報道をYoutubeで見てみました。

財政問題(例えば二重行政による無駄使い、など)については、橋下大阪市長の言説を胡散臭いと思いつつも、当方は財政の仕組みについては素人なので、客観的には判断できません。これについては「勘」に基づいて判断するしかないと思っています。(ただしその後に橋下市長や大阪維新の会が示す図表が欺瞞に満ちたものであることを知り、その財政問題への取組がまったく信頼できなくなりました。)

これまで橋下市長の政治的言動(例えば、職員への違法な思想調査、慰安婦に関する問題発言、文化芸術振興予算の削減、彼が主導した公募校長・区長の不祥事続出、予算無駄遣いとも思えるような自身の出直し市長選実施、カジノ設置への意欲、など)から、私の「勘」は大阪市特別区設置についてマイナスの判断を促します。

Youtubeでは橋下市長をたたえる動画が氾濫しています。その多くが「橋下市長、○○を論破」という内容のものです。たしかに外見では論破したように見えます。しかし、それは、反論不可能な、あるいはまともに反論しようとすると異様にエネルギーを費やさなければならないような「言い回し」のせいです。

橋下市長は討論の時に相手を攻撃するために以下の2つの言い回しをしばしば用います。そのひとつは「対案を出してください」というものであり、もうひとつは「やりたいことがあるなら政党を作ってあなた自らが政権をとってやればいい」という言い回しです。

前例のない事項について提案を出し合うというような構造のものであれば、「私の案はこれです。あなたの案はなんですか」という言辞は成り立ちます。しかし今回の場合、「大阪市特別区設置」という案に対する対案は「大阪市特別区を設置しない」というものです。つまり「システムを大きく変える」という案に対しては、「システムを大きく変えないで現実的に対処していく」という案であってよいのです。「大阪市特別区設置」のリスクを追及されると橋下市長はすぐに「対案を出してください」と言って相手を攻撃します。橋下市長の討論相手はこう言われると黙ってしまうことが多いように見えますが、「大阪市特別区を設置しない」というのが私の対案だ、と自信を以て言ってもよいのではないでしょうか。

政権獲得を競っているような相手であれば「あなたが政権をとってやればいい」という言辞は成り立ちますが、そうでない人に対してのこの言辞は今日の民主主義の構造に組み込まれた代議員制を否定するものです。この言辞を投げかけることによって、自分への批判を封じようとするものです。つまりは自分を誇り、相手を矮小化し、そのことを第三者に見せつけようとしているのです。ある意味で、違う土俵に無理矢理に相手を上げて、そこでやつけようとしているのと同じことです。多くの人は「おかしい」と思いつつ有効な反撃ができません。それは「政権をとる」ことが制度的に不可能ではないので、そのための努力不足を責められるような気分に一瞬なるからでしょう。「あなた自らが政権をとってやればいい」と言われれば、「私は政治家にはなりたくないのだ」と自信を以て言えばよいのではないでしょうか。

討論の場などにおいて橋下市長はイメージ操作の天才です。しかし、少し冷静になれば「勘」が働いて、いろいろな問題点が見えて来るはずです。私は多くの大阪市民の「勘」を信じます。「大阪市特別区設置住民投票」の賛成票が反対票を上回ることはないと信じます。

大阪市特別区設置住民投票について考える(2)2015_5_13

タウンミーティングや説明会でもっぱらマイクを握って説明するのは橋下大阪市長。会場から事務局の意見を聴きたいとの声があがった。橋下市長は「事務局の者はわたしの部下なので、長たる私が説明するのが筋」ということでマイクを握りっぱなし。

十分に練った上での提案内容を事務局員が皆できちんと共有しているのだったら、特に会場からそう求められているのだから、事務局の者に説明させればいい。

市長のそうした態度を見ていると、橋下市長以外の事務局員は内容をきちんと理解しているのだろうかと心配になる。
また、市長しか説明し説得出来ないような提案内容で、この先、本当に大丈夫なの、と突っ込みたくなる。

万が一、市長が倒れたらどうするのよ。これって、世にいう安全管理の視点から言っても大丈夫なの。

https://www.youtube.com/watch?v=s0YiTnz8hwY

大阪市特別区設置住民投票について考える(3)2015_5_14

私のPCでYoutubeにアクセスすると、そのトップページの「あなたへのおすすめ」はかなり以前から橋下徹大阪市長をヨイショする動画で占められている。たしかに最近でこそ「大阪市特別区設置住民投票」の関係でよく見ているから私のPCにその履歴が反映され、そのようになっているのは分かる。しかしかなり以前からそうだったのである。誰かが戦略的に閲覧数を増やしてそれらの動画がトップページにくるようにしているとしか思えない。

その動画のほとんどが、「橋下大阪市長、○○を論破」「橋下市長、xx番組にて○○をフルボッコ」「橋下市長、記者クラブの○○を完全論破、黙らせる」といった内容のものである。そして、そうした動画のほとんどが、論理的にきちんと相手に対して説明しようとするより、嘘や屁理屈で討論相手や記者をやっつけることのみが目的と言えるような内容で、私などはいやーな感じを持つ。仮に彼を支持していたとしたら、そのことだけで支持する気をなくしてしまうだろう。女性記者への罵詈雑言などを耳にすると、橋下市長の人格に根源的な欠損を感じる。

それらから感じるのは、橋下氏がケンカ(口喧嘩)に強いということをアピールしようとする彼自身及び周りの人たちの意思である。論理よりも勝ち負けの方が重要とする姿勢である。ケンカの強さを見ていて溜飲を下げる人が橋下市長の支持者には多いのだろう。

「大阪市特別区設置住民投票」に関するタウンミーティングや説明会で、事務局の者に説明させず、もっぱら橋下市長がマイクを握るのも、論理的に説明するよりも質問者を論破することに自体に主眼が置かれているからであろう。彼が論理を嫌悪しているのは、学者という存在を否定しそれを口汚く罵ることにも表れている。

大阪の未来を(同時に日本の未来を)、怨みや欲求不満を一時的に解消したいというような感情に委ねてはならない。