5月18日,アクロス福岡シンフォニーホールにて,秋山和慶指揮九州交響楽団のシューマンチクルス<第1夜>を聴く。曲目は《序曲,スケルツォとフィナーレ》《序奏とアレグロ・アパッショナータ(ピアノと管弦楽)》《交響曲第1番変ロ長調「春」》。ピアノ独奏はイリーナ・メジューエワ。
シューマン生誕200周年ということで,ここのところやたらとシューマンを聴く機会が多い。しかし,こうして管弦楽曲をまとめて聴けるのは,まさに200周年ならではのことで,シューマン好きとしてはまことにありがたい。
シューマンはオーケストレーションがあまりうまくないということが定説のようになっている。たしかに,すっきりとしたオーケストレーションではなく,鳴りにくい中音域に音が集まっている感じで,モゴモゴとした感じが否めない。しかし,じつはそれこそがシューマンの管弦楽曲の特徴であり,魅力ではないのか。ときどきそのモゴモゴ感から抜ける時があり,その瞬間が鮮烈な印象を聴き手に与える。
最初の2曲はあまり聴く機会のない作品。派手さはないが初期ロマン派的表情が横溢した佳品。イリーナ・メジューエワも派手さはないが,誠実な演奏で,気持がよい。
《交響曲第1番変ロ長調「春」》における秋山の指揮は最後への盛り上げ方がうまい。おそらくはシューマンが意図した以上の盛り上げ方ではないか。バカな聴衆が勘違いして最後の和弦の前に思わず拍手しかけていたが,それもむべなるかな。
このシューマンチクルスは九響の定期演奏会ではなく,「天神でクラシック」シリーズの一環である。そのせいか,客席の入りは半分程度。これでは少な過ぎる。せっかく福岡でシューマンがまとまって聴けるチャンスなのに。残念。目覚めよ,福岡のクラシック・ファンよ!